国内電通グループ10社・新入社員209名が経営シミュレーションで「顧客の事業を動かす視点」を体感



国内電通グループ10社では、クライアントの事業成長を統合的に支援する「Integrated Growth Partner」の実現に向けて、新入社員209名を対象にBMG経営研修を導入しました。
本研修の狙いは以下の3点です。
1.広告の専門性に加え、顧客企業の経営判断や事業構造を理解する力を育てること
2.座学でインプットした事業理解を、経営シミュレーションを通じて体感的に定着させること
3.新入社員の段階から、経営視点やファイナンスへの関心の種を植えること
受講満足度99%、学びの獲得実感99%、来年度推薦意向100%。なぜ国内電通グループの新卒研修に経営シミュレーションが必要だったのか。導入の背景と成果について伺いました。

研修導入の背景と課題
今回、新入社員研修にBMG経営研修を導入された背景を教えてください。
電通グループでは「Integrated Growth Partner (以下、IGP)」として、クライアントの事業成長を統合的に支援していくことを目指しています。
その実現のためには広告の専門性だけでなく、顧客企業がどのような判断軸で経営を行い、どのように事業を成長させているのかを理解する力が求められます。
経営視点やファイナンスへの理解を若手の早い段階から育てていく必要があるというのが、今回の導入に至った背景です。
なぜ新卒のタイミングで取り組むことが重要なのでしょうか。
以前、全社の社員を対象に手挙げ式のファイナンス研修を提供したことがあるのですが、若手層の参加は限定的でした。
経営やファイナンスに触れる重要性を、若手が自ら実感する機会がまだ少ない状況だったんですよね。だからこそ、社会人になったタイミングで、ビジネスの基本スキルとして経営やファイナンスが重要であることを伝え、関心の種を植えておきたいと考えました。

経営視点を新卒から育てることには、自社の中で自分の仕事が会社の経営にどうつながるのかを意識してもらうという側面もありますし、クライアントが自社に何を求めているのか、自分たちが何を価値提供しなければいけないのかを知るという側面もあります。
配属後に作業として仕事を回すのではなく、その先にある会社の経営やクライアントの事業を意識してほしい。こうした感覚は、キャリアの後半から身につけようとすると苦戦する場合もあります。
だからこそ、新入社員研修という全員が一度にインプットできるタイミングに意味がありましたし、研修全体を通じてIGPを目指すうえで何が必要かを伝え続けてきた中で、経営シミュレーションが自然に組み込める親和性もありました。
新入社員研修全体の中でのBMGの位置づけ
2ヶ月間の新入社員研修の中で、BMGはどのような位置づけで組み込まれましたか。
2ヶ月間の研修全体を、会社やグループの概要理解から始めて、各事業領域の理解、そして個人の役割へと構造的にブレイクダウンしていく設計にしています。
株式会社電通では7つの事業領域を定義していまして、それぞれがどのような価値を提供しているのかを座学でインプットした後に、BMGを配置しました。概念として理解したことを「じゃあ実際にやってみよう」という流れです。
従来の新入社員研修はインプットが中心で、体感としては全体の8割程度が講義の時間でした。
今年はアウトプットの比重を高めたいという方針があり、受講者が能動的に考え、手を動かす場を増やしたかった。BMGはまさにその設計意図に合致するプログラムでした。

受講者からも「知識として知っていたことが、やってみるとこんなに難しいのかと実感した」という声が多く上がりました。
座学でインプットした内容を、シミュレーションの中で自分たちで意思決定してみることで初めて、ビジネスの難しさを体感できた。研修設計として狙い通りの反応でした。
なぜBMG経営研修を選んだのか
数ある研修プログラムの中で、BMGを選ばれた決め手は何でしたか。
体験型であることが核だと感じました。導入前に研修担当者向けの体験会に参加したのですが、実際にシミュレーションを体験してみて、システムやUI含めて非常に設計し尽くされているという印象を受けました。
講義とシミュレーションがセットになっていて、受講者が操作に戸惑うことなく学習に集中できる環境が整っている。内容面以外での学習のハードルが低いことが、新入社員向けの研修としては特に重要でした。
私たちにとって大きな決め手は、研修設計側の意図に合わせて柔軟に対応してくださるところです。今回もファイナンスを重視した構成にしたいという私たちの意向に、早い段階から応えていただけました。
研修は、ともすればパッチワーク的なコマの穴埋めになってしまいがちです。でも私たちはそうしたくなかった。2ヶ月間の研修全体を一つのストーリーとして設計していく中で、BMGをその文脈に自然に組み込めたのは、一緒に設計を考えていただけたからこそだと感じています。
来年以降に規模やニーズが変わったときにも、一緒に作っていける安心感がありましたね。
209名が体験したBMG経営研修の内容
新入社員209名が5名1チーム・約40チームに分かれ、2日間にわたってて経営シミュレーションに取り組みました。
各チームは会社を創業し、経営理念を策定したうえで、4つの市場に対して市場調査、製品開発、生産、人材採用、営業、マーケティング、価格設定など約20項目の意思決定を四半期ごとに行います。

Day1は創業から1年目の経営に取り組み、Day2はその続きの経営を実施。約7割がシミュレーション、約3割が財務諸表の読み方や戦略立案に関する座学で構成されています。
倒産するチームも現れる中で、受講者は自分たちの意思決定が経営数値として跳ね返ってくる体験を通じて、経営の難しさと面白さを体感しました。
実施後の反応と手応え
実施後の反応はいかがでしたか。
受講満足度99%、学びの獲得実感99%、来年度の新入社員への推薦意向100%という結果でした。私たちも全講義でアンケートを取っていますが、99%や100%という数字はなかなか見ません。ここまで来ると際立って高い。純粋に驚きました。

当日の様子を見ていると納得の結果です。多くの新入社員が前向きに、楽しそうに取り組んでいました。初めて財務諸表に触れる人も多く、自分たちの意思決定が数字として返ってくることへの新鮮な衝撃があったようです。
チームで意思決定することの難しさ、説得することの難しさも含めて、「稼ぐって本当に難しいんだ」という実感を持てたことが、この研修の大きな収穫だったと思います。
「いままで全く関わってこなかった経営に少しだけ携わることができ、これから関わっていくクライアントが私たちになにを求めているのか考えるきっかけになりました。」
「正直本当になにも知らなかった、すべてのことが学びになりました。この研修がなければ財務諸表なんて自分の知る必要のないこととさえ思ったかもしれないです。研修があって良かったです。」
「インプットだけしていた知識として持っていたものが、やってみるとこんなに難しいんだということを知りました。稼ぐって本当に難しいんだなということを体感できました。」
「かつて笑うしかないほどの経営危機に見舞われたわが社が、班員と力を合わせて営業利益1位・営業利益率1位を達成するという体験は、何物にも代えがたい経験でした。」
「全く知らなかった経営がどのようなものなのかを知ることができ、研修中で一番楽しい時間でした。」
研修を通じて感じられた価値はどこにありましたか。
チームで取り組むプロセスの価値が大きかったと感じています。仮にこの時間をすべて座学にしていたら、正直なところ集中が途切れてしまう受講者もいたと思います。
でもBMGでは、自分の意思決定がチームの経営結果として跳ね返ってくるので、全員が当事者として向き合わざるを得ない。チームの中で自分の考えを通すために説得するプロセスも含めて、彼らにとって貴重な経験になったのではないかと思います。
もちろん、この8時間だけで経営のすべてが身につくとは思っていません。ただ、ここでの気づきを他の講義と合わせて携えた上で、いずれ現場に配属されたときに「あの時ああだったな」と思い出してくれることを期待しています。それが私たちの研修設計の目論みでもあります。

経営を知る入り口、一歩目としての研修として本当に素晴らしかったと思います。ここで芽生えた関心を、配属後のキャリアの中で育てていってほしいですね。
広告会社の新入社員が、メーカー経営のシミュレーションに取り組むことには、どのような意味がありますか。
あえて自社の業界とは異なるメーカー経営を体験することで、クライアント側の視点を持つきっかけになります。顧客企業がどのように経営判断を行い、どのように事業を成長させているのかを体感できるのは、この研修ならではの価値だと思います。
私たちは顧客のバリューチェーンを理解しようと全社的に発信し続けていますが、気を抜くと最も得意なプロモーションの領域に思考が寄ってしまうことがあります。
BMGでは、市場を分析して、提供価値を定め、製品を作り、顧客に届けていくことが求められます。普遍的なビジネスモデルをテーマとして扱うからこそ、いわゆる4Pと呼ばれる、モノづくり、価格設定、流通、プロモーションなどの、ビジネスの全体像を体験することができます。
Integrated Growth Partnerを目指す私たちにとって、非常に親和性の高い研修だと感じました。
大規模合同研修としての運営
10社合同・209名という大規模での実施について、運営面ではどのような手応えがありましたか。
事前にかなり細かいところまで打ち合わせをしていましたし、5名の講師の方々が会場を巡回しながら受講者をサポートしてくださったので、当日は安心して進行を見守ることができました。
Day1は全員が一つの会場に集まり、Day2は3つの会場に分かれて実施しましたが各会場に講師の皆さんがいてくださったので、大きな問題なく進行できました。
チーム対抗戦ということもあり、受講者同士の競争心も高く、チーム間で互いに切磋琢磨する姿が見られましたね。
カリキュラムの設計においても、ファイナンスのインプットをどの程度重視するか、チームビルディングの要素をどれくらい入れるかといった比重について、早い段階から相談させていただけたのがありがたかったです。
私たちとしてはファイナンスを重視してほしいという要望があったのですが、そこにしっかり応えていただけました
こちらの要望に対して、柔軟に対応してくださったことがありがたかったです。
来年も同じ10社200名の規模になるとは限りませんし、経営層から別のニーズが入ってくるかもしれない。そうした変化にも一緒に対応していけるという安心感があったからこそ、安心してお任せすることができました。
今後の展望
今後の展開について教えてください。
新入社員だけでなく、Integrated Growth Partnerとして成長していくべき社員は全社にいます。今後は、新入社員研修にとどまらず、全社向けの学習機会としての展開も視野に入れています。
来年度に向けては、事前準備を厚くすることで、研修から得られる価値をさらに高めていきたいですね。
また、研修の良さはやはりリアルな対面にあると思っています。そこでしか出会えない人との出会いがあり、協働する中で自分の強みも弱みも知っていく。
この身体性のあるプロセスに価値がある。BMGのような研修を通じて、対面で学ぶ意義を組織に示していきたいと考えています。

白石様、三宅様、貴重なお話をありがとうございました。















