新規事業の創出に必要な、「戦略と財務の両輪で事業を牽引する力」を実践的に学習
KBCグループホールディングス様にて、新規事業創出担当者や経営企画部門を対象に、戦略と財務の両輪で事業を創出する力を実践的に学ぶ「BMG経営研修」を実施
本記事では、研修実施の背景から実施後の効果まで、新規事業開発に携わる城野さま、石田さまにお話を伺いました。
研修導入の背景
今回、研修に参加された背景や、抱えていた課題について教えてください。
私は新規事業を担当しているのですが、これまで新たな事業を推進する中で、ファイナンスに関する知識が不足していることを課題に感じていました。
新規事業ですから社内の上層部に対して事業の収益性や堅実性を説明する場面が多々あるのですが、その際に数字に基づいた定量的な計画を示すことが弱く、説得力に欠けているケースもあるなと感じていました。
これまでは個人で本を読んだり勉強会に参加したりはしていたんですけど、実践的に学べる機会を求めていたんですよね。
私も城野と同じく新規事業開発を担当しており、放送局が持つ信頼やネットワークを活かした事業を立ち上げようとしています。
私はこれまで、事業の種を見つけるためにとにかく行動し、人に会うことをメインに進めてきたので、中長期的な視点を持って事業をどう成長させていくのか、どのタイミングでどんな投資が必要になるのか、なぜそのマーケットを狙うのか...そうした戦略的な視点を持たぬまま、場当たり的に動いていたことに課題感を持っていました。
研修の内容と実施の様子
研修に参加していかがでしたか?
企業の経営陣となって、市場調査から事業計画の策定、投資判断、資金繰りまで、経営に関わるあらゆる意思決定をチームで行いました。1日目はCFO、2日目はCEOと、異なる経営の役割を体感できたのも大きな経験でしたね。
座学で一方的に知識をインプットされるのではなく、自分たちで考え、議論し、意思決定を下す。その結果がすぐに数字として返ってくるので、緊張感がありました。
走り出したばかりの自分たちの事業ではまだ経験できないような大きな経営判断を、現実の何倍ものスピードで疑似体験できたのが非常に価値がありました。
非常に濃密な2日間でしたよね。特に印象的だったのは、投資のタイミングと意思決定の考え方です。
事業が投資フェーズで赤字の時、現金がショートしそうになった時などにどう意思決定するか、本当にその人の考え方や人間性が出るんです。リスクを取ってでも踏み込むべきだと判断する人もいれば、慎重になる人もいる。
本で知識を得るだけでは決してわからない、リアルな経営の難しさと面白さを感じました。議論を通じて自分の考えを伝え、フィードバックをもらえる環境は本当にありがたかったです。
「体験を通してしか学べないことは絶対にある」と改めて思いました。頭では重要だとわかっていても、受動的に聞くだけでは知識は身につきません。
この研修では、参加者全員が「やらされている感」なく、主体的に関わっていました。特に、戦略を立てずに臨んでうまくいかなかった1日目と、その失敗を活かして綿密に事業計画を立てて臨んだ2日目とでは、見える景色が全く違いました。
失敗から学ぶことの重要性を、身をもって体験できたと思います。
研修の効果と成果
当初の期待に対して、研修の効果はいかがでしたか?
期待以上でした。私に欠けていた「中長期的な視点」がどういうものか、明確に理解できました。
これまではつい目の前の売り上げだけを追求しがちでしたが、財務諸表を分析・予測することで全体を俯瞰し、適切な経営判断を下すことが成功の確率を上げるのだと実感しました。
事業の形態を問わず、どのように成長し、どこで投資が必要で、どの市場を狙うのか。そうした視点を持った上での行動と、場当たり的な行動とでは、成果の精度が全く変わってきます。
また、私たちの感覚として、どうしても資金の借り入れに「借金」というマイナスイメージがあり抵抗感がありましたが、企業の成長のためには全体を見通した上で、しかるべきタイミングでの投資が不可欠であるという意識変革が起きました。これは大きな収穫です。
まず、財務的な理解がなければ経営者や事業責任者にはなれないと痛感しましたし、経営理念に基づいた事前の事業計画、つまり正しい市場選択と顧客ニーズを捉えることの大切さを学びました。
それに加えて、社内の決裁者の意思決定プロセスを事前に把握し、もしそれが明確でないならこちらから作りに行く、というアプローチの重要性にも気づかされました。
私たちはこれまで、上層部がどう判断するのかを人づてに聞く事が多く、自分たちから「こういう基準で判断してください」と提案する動きが充分に取れていませんでした。
これからは明確なロジックを携えて、能動的に働きかけていく必要があると感じています。
特に印象に残った、ご自身の変化はありましたか?
2日目に社長役を経験したことで、事業責任者に求められるものの解像度が格段に上がりました。シミュレーションであっても、社長の判断は本当に重い。担当役員の持つ責任感の強さを強烈に感じましたね。
そして、ロジカルに材料を集めて分析した上で、最後はそれを上回るほどの「強い意志」が事業を前に進めるのだと感じました。
事業を担当させてもらっている今の立場に改めて責任を感じ、貫くべきところは貫かなければいけない、という覚悟ができました。
事業活動は、利益を出してステークホルダーに還元することが目的です。そのためには、適切な投資が不可欠だということを、シミュレーションを通じて痛感しました。
仮想世界ですら投資や借り入れにこれだけ抵抗があるのだから、現実世界でリスクを背負うのは本当に勇気がいることだと思います。
だからこそ、自分の中でロジックを徹底的に固め、それを社内の関係者としっかり共有して、「握った状態」で動いていくことの重要性を学びました。
今後の展望
今回の研修での学びを、今後どのように活かしていきたいとお考えですか?
インプットとアウトプットを繰り返し続けることが重要だと感じています。
今後も財務の勉強を継続しながら、例えば、定期的に他社のP/L(損益計算書)やB/S(貸借対照表)を見ながら「この会社はどういう状況だろう?」と議論するような、アウトプットの場を自主的に作っていきたいです。
今回の研修で、そうした提案をすることへの心理的なハードルがぐっと下がりました。
新規事業担当者は、どうしても自分で手足を動かす現場仕事に多くの時間を取られがちです。もちろん、顧客候補を見つけてニーズを満たすための連続的なアクションは欠かせません。
しかし、それだけではいけないと痛感しました。これからは、定期的に立ち止まって「鳥の目」を持ち、中長期的な戦略から逆算して自分たちの事業が今どういう位置にいるのかを常に把握する時間を意識的に作ります。
この2日間で学んだ経営の視点で物事を捉え、全体像を持って行動することで、日々の行動の精度をさらに高めていきたいです。
城野さん 石田さん、ありがとうございました!
ビジネスコアスキルを実践的に習得
