越境学習の導入ポイント【成功を後押しする3つの要素を解説】
企業研修のトレンドとしても注目を集める「越境学習」。導入に成功した企業は、どのような事前準備を進めていたのでしょうか?
組織や業界の垣根を超え、新たな知識・スキルが獲得できるとして注目されている「越境学習」。自社の枠にとらわれずに他社の人材と交流したり、海外で働く経験を積むことで、新たな視点と発想を身につけることが期待されています。
▼越境学習が注目される「社会背景」について、詳しくはこちら
https://www.schole-corp.com/journal/article-007
今回は、越境学習の導入にあたって重視すべき「3つの要素」を解説するとともに、実際の導入事例についてご紹介します。
2つのアプローチに分けられる「越境学習」
技術革新やグローバル化が進み、多くの企業が厳しい経営課題に直面しています。そうした課題に柔軟に対応できる次世代リーダーを育成するためにも、越境学習には大きな期待が寄せられています。
まずは、その方法を見てみましょう。「越境」には、大きく分けて2つのアプローチがあります。
◆ 環境の移動
「グループ会社への1年間の出向」「部署を横断した新規事業のプロジェクトへの参加」など、ある場所から別の場所へ移動し、異なる環境に置かれた上で学びを体験します。
◆ 異文化交流
「異業種プロジェクトへの参加」など異質な文化を持った人同士が、同じ時間・場所で交わりながら、新たなモノ・知識を習得し、創造します。多様な背景を持つ人々との協働を通して、モノの見方や考え方が変わるプロセスを味わうことができます。
こうした経験は、個人の成長だけでなく、所属する組織全体のイノベーション創出や競争力強化にも大きな影響を及ぼすと考えられているのです。
越境学習を成功に導くために!事前準備に必要な3つの要素
越境学習を導入し、最大限の成果を得るためには、適切な準備と実行が不可欠です。まずは、事前準備の際に必要な3つの要素を考えていきましょう。
【1】明確な目標設定
そもそも越境学習を導入する目的は、何でしょうか?
何を達成したいのかを明確にすることは、成功のカギを握る重要な要素です。単に「新しい経験をしたい」「トレンドらしいから」などの漠然とした動機では、効果的な学習は難しくなるでしょう。
目標設定の例
・「経営戦略の立案に必要な財務・経理知識の習得」など、専門スキルを獲得したい
・新規事業のアイデア創出に向けて、切磋琢磨する機会を体験したい
・次世代リーダーに必須の「リーダーシップスキル」を高めたい
目標設定が具体化すれば、詳細な計画も立てやすくなります。学習期間や、参加する研修内容、必要なリソースなどがイメージできるようになれば、より効率的な学習が可能になります。
【2】学びを実践に移す仕組みづくり
せっかく越境学習で知識・スキルを得ても、実際の業務に活かせなければ意味がありません。社内に持ち帰った後に、実践の場で活用できる「仕組みづくり」を意識しましょう。
仕組みづくりの例
・学習内容に関する報告会の定期実施
・習得したスキルが活かせるプロジェクトへの参加
・他のメンバーに知識を共有する社内勉強会の開催
こうした機会を通じて学びを深めることで、組織全体への波及効果も期待できます。
【3】フィードバックと振り返り
定期的なフィードバックと振り返りは、越境学習の効果を最大化します。自己評価はもちろん、上司や同僚、メンターからの客観的な評価を受けることで、自分自身の成長が実感でき、さらなる改善点を見出せるようになるでしょう。
フィードバックと振り返りのポイント
・定期的な1on1ミーティングの実施
・学習についてまとめた日誌、ポートフォリオの作成
・360度評価の活用
越境学習を導入する前に、以上の3つの要素を意識しながら準備することで、越境学習の効果をさらに引き出せるのではないかと思います。

導入前にチェックしておきたい注意点
さらに、越境学習を導入する際のリスクヘッジを取るためにも、次の4つの点に注意して進めていきましょう。事前準備のポイントと合わせて、チェックリストを元に確認してみます。
【1】自社の経営課題とのすり合わせ
「明確な目標設定」でも述べましたが、越境学習の目的と自社の経営課題・目標が合致しているかどうかを確認しましょう。「どのような課題解決、成長につながるのか」を言語化できるようにしておきます。
チェックポイント
□ 現在の経営課題、あるいは中長期的な目標は何か?
□ 越境学習は、どのような課題を解決できそうか?
□ 越境学習によって、組織にどのような変化をもたらしたいか?
【2】時間管理、コスト管理
越境学習の実施には相応の時間とコストがかかります。リソースを適切に管理し、投資対効果を最大化する意識を忘れないようにしましょう。
チェックポイント
□ 学習にかかる時間はどのくらいか?
□ 必要な予算は?(研修費、交通費、宿泊費など)
□ ROI(投資利益率)の予測は?
□ 投資対効果についてどのように評価するか?
【3】本業とのバランス
越境学習に熱中するあまり、本来の業務がおろそかになって本末転倒です。参加者の本業と学習のバランスを適切に保つように心がけましょう。
チェックポイント
□ 学業務量の調整、役割分担の見直しは必要か?
□ 定期的な進捗確認と調整はできているか?
□ 上司・同僚のサポート体制は構築できているか?
【4】学習成果の評価方法
越境学習の成果は、従来の評価方法では捉えきれない場合もあります。新たな評価基準や方法を検討しながら、改善していくことも必要です。
チェックポイント
□ 学習終了後の定性・定量評価の指標は設定できているか?
□ 短期的・長期的な両面から評価ができているか?
□ 自己評価と他者評価を組み合わせ、多面的に評価できているか?
越境学習は組織と個人の成長に大きな可能性をもたらします。一方で、実施効果を高めるには事前準備と継続した改善策が必要です。これらのポイントを踏まえた上で、自社に最適な越境学習のあり方を探求していくことが、成功への近道となります。
スコレが提供している「BMG越境学習」事例
スコレでは多様な人材が集まり、共創体験を通じて学び合う「BMG越境学習」を提供しています。異業種の次世代リーダーが集まり、経営シミュレーションに取り組む2日間のプログラムです。
2025年2月には、ロート製薬株式会社、住友林業株式会社、株式会社トリドリ、株式会社商工組合中央金庫の4社が参加しました。
▼当日の様子は、こちらのイベントレポートをご覧ください。
https://note.com/schole_media/n/n5f410912ceb2
終了後に、参加者の方々へインタビューを実施し、参加の決め手や気づきについてお聞きしました。
参加者からは、次のような声が寄せられています。
【Q】参加理由は?
上司からの提案で参加を決めました。現在は新規事業の立ち上げに従事しており、市場調査や顧客の反応をみながら、実際にどのような新規事業を進めていくかを判断し、周囲を率いていくことが求められます。
経営戦略や財務に関する知見はまだまだ弱いと感じていたので、今回のプログラムで経営視点を養えることはとてもよい機会になると感じ、即決で参加と回答しました。
【Q】経営シミュレーションに取り組んでみていかがでしたか?
僕は2日目、財務担当にチャレンジしました。1日目は自分が得意なことを任せてもらい、手応えも感じられたので、2日目は不得意なところに挑戦しようと。初めてのことで、お金を管理しながらコミュニケーションを取るのに精一杯で、チームのアクションを決めるところにはあまり携われなかったのが反省点です。
ただ、財務諸表を見慣れている商工中金の方々にサポートいただけたことはとても学びになりました。実際に金のやりくりをしながら「こんなにお金を借りて、投資していいんだ」と体験できたことが、新鮮で面白かったです。
▼参加者インタビューの全文はこちら!
https://www.schole-corp.com/usecase/article_10
今後も東京、大阪での開催を予定しています。
【東京会場】
①2025年6月12日(木)〜6月13日(金)
②2025年9月25日(木)〜9月26日(金)
③2026年2月19日(木)〜2月20日(金)
【大阪会場】
2025年9月18日(木)〜9月19日(金)
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