越境学習の最新動向を解説!【成功企業のベストプラクティス】
企業の持続的な成長と、競争力の強化を目指すには「経営人材」の育成が不可欠です。そのための重要なカギを握っている「越境学習」について考えます。
自社や自部門の枠を超えて、異なる環境や文化に身を置きながら学ぶ「越境学習」。近年では、人事部門や経営者の間で越境学習への関心が高まっています。
▼越境学習で育む次世代リーダー【成果を出すための3つのポイント】
https://www.schole-corp.com/journal/article-011
グローバル化やデジタル化が急速に進み、従来の研修スタイルでは次世代リーダーの育成が難しくなってきているのです。今回は、越境学習の最新トレンドと、導入企業の事例について詳しくご紹介します。
越境学習の現在地:企業の現状と課題
『日本の人事部 人事白書2022』が実施した調査によると、「越境学習は重要だ」「やや重要だ」と答えた企業は78.1%にのぼっており、企業規模の大きさに比例して「重要だ」と考える傾向があると分かりました。
しかし、実際に取り組んでいる企業は半数にも満たず、「本業がおろそかになるのではないか」と懸念する声が3割超となっていました。「興味関心は高いが、実際に始めるとなると迷いも大きい」という企業が多いことが、伺えるデータとなっています。
※出典:「日本の人事部 人事白書2022」https://jinjibu.jp/article/detl/hakusho/2911/
一方で、経済産業省は「イノベーション推進人材の育成施策」として、越境学習を推進。「越境学習をイノベーション創出につなげるために─越境学習グッドプラクティス─」を取りまとめ、公開しています。
https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/shukkokigyo/jireisyu.pdf
本資料では、さまざまな形式の「越境学習」が事例として紹介されているほか、スキルアップのコツや終了後の学びを促進するポイントも紹介されていました。
多くの企業ではイノベーション人材の不足が危惧されており、越境学習による「イノベーション創出につながるスキル獲得」が期待されています。
「導入はしたい気持ちはあるが、具体的に何をすべきか分からない」という方は、ぜひ一度ご覧ください。
越境学習の効果を可視化する経済産業省の「ルーブリック」
さらに経済産業省では、越境学習を効果的に実施し、得られる成果を客観的に評価するための「越境学習ルーブリック」を作成しています。
ルーブリックとは、学習目標の達成度を評価するための評価ツールのこと。評価観点と、評価の尺度によって達成レベルを段階的に示し、一覧表として可視化しています。
▼例(一部抜粋)
段階 | 課題内容 | カテゴリー | 評価項目 | 浅い | 〜 | 深い |
越境前 | 越境前にマインドセットを整える段階 | 準備 | 越境の目的が明確化している | 越境に際して「指示にしたがっているだけ」という態度である | 越境先で行うことは理解しているが、目的意識は特にない | 越境先にいくことで何を学びたいかを自分なりに意識している |
越境中 | 越境先を理解して視座を高める段階 | 学習 | 業務に必要な知識を得ている | 知識や技術は誰かが教えてくれるものだと考え、待ちの姿勢である | 必要不可欠になった場合に、業務上の知識や技術を自ら学ぼうとしている | 越境先での業務に関連した知識や技術を積極的に吸収しようとしている |
越境後 | 少しずつ行動を起こし、周囲を巻き込む段階 | 行動 | 越境先での学びを伝えている | 越境先で何があったのか、公式的な報告以外では話していない | 非公式な場面でも質問されれば、越境先で体験したことを話している | 越境先で学んだことを所属組織のメンバーに伝える機会を設けている |
「越境学習ルーブリック」の特徴は、次のとおりです。
【1】評価基準の明確化
越境学習を通じて得られるスキル・能力が段階的に理解できるため、参加者自らが成長を実感しやすくなっています。企業側も育成目標が明確に設定でき、導入前の準備も進めやすくなると思います。
【2】多面的な評価ができる
ビジネススキル、コミュニケーション能力、リーダーシップなど、多岐にわたる評価項目が含まれており、総合的な人材育成に役立つと考えられます。多面的な評価によって、今以上に成長が期待できるポイントが可視化されるのも大きなメリットです。
【3】柔軟な適用が可能
業種や企業規模に関係なく設計されており、各企業の状況に応じたカスタマイズが奨励されています。活用のためのマニュアルも用意されていますので、参照してください。
「越境学習ルーブリック」は、越境体験で得られる効果や学ぶべき姿勢を明確に言語化しており、導入担当者にとって非常に有益な指標となっています。社内での導入や、具体的な研修設計を進める際の参考にもなるでしょう。
越境学習の壁を突破する!実践者が直面する3つの課題
越境学習は多くの利点をもたらす一方で、予期していなかった課題に直面することもあります。では、導入後によく見られる課題と、それらを乗り越える方法にはどのようなものがあるのでしょうか?
◆当事者意識が薄く、自分の仕事の限界を勝手に決めてしまう
多くの参加者が直面する最初の壁は、「自分には関係ない」という意識かもしれません。新しい環境に対する不安や自信のなさから、自分の能力や役割について制限を設けてしまうこともあります。
<解決策>
- 伴走するメンター、アドバイザーによる積極的なフィードバック
- 具体的な目標設定と、定期的な振り返りによる「成長過程」の可視化
- 成功事例や参加者の体験談の共有(モチベーションの向上)
◆仕事を進めるスピード感の違い
異なる組織や環境では、意思決定や業務を進めるスピードが大きく変化します。この差異に戸惑い、適応に苦労する参加者も少なくありません。新しい環境に柔軟に対応できるようなサポートが必要になります。
<解決策>
- 適切なマネジメントによる、参加者との連携
- 中間目標を設定し、段階的に適応できるようにサポートする
◆社内外のリソース活用が上手にできない
新たな環境でのリソースやネットワークが十分に活用できず、学習機会を逃してしまうこともあります。
<解決策>
- プログラム開始時に、目標についてすり合わせをする時間を取る
- 定期的に交流できる機会を設け、人脈形成を促進する
- データベースやツールなど、利用できるリソースを紹介し、活用を奨励する
越境学習では、自分自身が主体的に活動し、気づきを得ることで学びにつながりやすくなります。参加者に伴走しながらも、適切な距離を保って見守ることが、導入担当者に求められる姿勢なのではないでしょうか。
小さな一歩から始められるスコレの越境学習
越境学習には「大企業からスタートアップ企業への越境」「大企業からNPOへの越境」など、さまざまな形式があります。
その中でも、スコレが提供している「BMG越境学習」プログラムは小さな一歩から始めることができます。部署内で成果が認められれば、他部署での導入も進めやすくなるかもしれません。
スコレでは経営シミュレーション「BMG(Business Management Game)」を活用した研修プログラムを実施。座学と実践の機会を組み合わせ、人材育成をサポートしています。
https://www.schole-corp.com/service/bmg
2025年2月には、ロート製薬株式会社様、住友林業株式会社様、株式会社トリドリ様、株式会社商工組合中央金庫様の4社によるBMG越境学習プログラムを2日間にわたって開催。多様な業界からなる人材混合チームに分かれ、経営シミュレーションに取り組みました。
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スコレでは「次世代リーダーに必要な4つのコアスキル」として、身につけるべき重要なスキルセットを提唱しています。
▼次世代リーダーに求められるスキルとは?
https://www.schole-corp.com/journal/article-002
BMG越境学習プログラムを通じて4つのコアスキルを高め、複雑なビジネス課題に対応できるリーダーの育成を目指しているのです。
最後に、参加者からの声を一部ご紹介します。
ーー BMG越境学習プログラムをどのような方々におすすめしたいですか?
同じ会社・部門での経験年数が長い方で、新しい視点を得たい方や、他社・他部門の考えを吸収したい方におすすめしたいです。私自身がそうだったように、自分の強みと弱みを再認識して今後のキャリアに活かしたり、視野を広げたりするきっかけになると思います。
あとは、新たに管理職になった方々にとっても、様々なメンバーをマネジメントしていく上で非常に勉強になるプログラムだと思います。
社歴の長い人や転職経験のない方におすすめですね。同じ企業で長く働くと、会社の常識がそのまま社会の常識になりがちです。異なる価値観に触れて、見える世界が広がるいい体験になると思います。
また、会社としても「変革」を求めている企業にマッチしそうです。時代の変化に合わせてアップデートしていきたい、そうは思いつつも、これまでの歴史や組織の規模もあり身軽に動けない企業もあると思います。そんな企業で導入すると、良い変化が生まれるのではないでしょうか。
▼詳しいレポートはこちら!
https://www.schole-corp.com/usecase/article_10
スコレの「BMG越境学習」に興味をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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